公務員試験で難しいのは、筆記試験よりも面接試験です。公務員の面接試験はどのように対策すればいいのか、準備しておくべきことについて触れていきます。
筆記試験に合格すれば公務員になれるわけではない
公務員試験では、筆記試験はあくまで一定レベルの学力を見るための試験でしかありません。本当に大事なのは筆記試験よりも面接試験です。「筆記試験に受かれば、あとは楽勝だ。」と甘く考えているひともいるかもしれませんが、どんなに筆記試験に受かろうとも、面接試験で何度も落とされるひとがいます。
これほど公務員による不祥事も起きているわけで、学力よりも人柄を公務員試験でも重視している傾向にあるのです。公務員試験では、面接試験こそ力を入れて取り組まないといけません。
公務員試験の面接対策で準備すべきこと
では、公務員試験の面接対策として、どのようなことを準備しておくべきか、どのような質問がされるのか、下記で詳しく見ていきましょう。公務員試験の面接では、様々な質問がされるので、あらかじめ準備しておく必要があります。
なぜ民間企業ではなく公務員なのか
まずよく聞かれるのが、「なぜ民間企業ではなく、公務員を目指しているのか?」です。この質問は必ずと言っていいほど聞かれると思った方がいいでしょう。この質問に対して、「楽そうだから」「残業が無さそうだから」と答えると、公務員を舐めているやつとして、もちろん面接は通過しないでしょう。
そうではなく、民間企業ではなく公務員でしかできないことを伝えるべきです。単に「ひとのために働きたい」と言っても、それは民間企業でもできること。そうではなく、「地域の高齢者のためにデイケアサービスをさらに充実させたい」「〇〇市の学力を上げるために〇〇の活動をしたい」など、民間企業ではなく自治体でしかできないことを考えて伝えるべきです。自分なりの「なぜ民間企業ではなく公務員なのか」の考えを用意しておきましょう。
なぜ〇〇区、〇〇市なのか
そのほかに、「なぜ〇〇市の公務員を希望するのか?」と聞かれることが多いです。これには、その市が取り組む事業に絡めて答える必要があります。観光に力を入れている市ならば、市の特産物や行楽地をさらに県外にアピールできるような取り組みをしたいとか、その自治体が力を入れている、かつ他の自治体があまり力を入れていないような、違いが見せられる事業に焦点を置き、自分なりの持論も絡めて言えるとベストでしょう。ありきたりな理由ではなく、その市でしかできない、その市こそ力を入れている事業に絡めて、受け答えをしましょう。
なぜ自分が住む〇〇市ではないのか
「なぜ自分が住む〇〇市の公務員を目指さないのか?」と言われることがあります。このときに、実はそっちの公務員試験が第一志望だとしても、馬鹿正直に伝えないことです。なぜか聞かれたら、やはり先ほどにもお伝えした、その市が力を入れている事業に自分も参加していきたいこと、また希望の自治体が持つ、「土地柄や自然環境や土地開発に魅力を感じて志望した」など、その自治体の特性を踏まえた受け答えができることが重要です。
間違った自己PR
公務員試験では自己PRを求められることがあります。そこでよく間違えた自己PRをするひとがいます。「私はコミュニケーション能力が長けている。」「私は周りの潤滑油だ。」など、やたらと良いことばかり主張する自己PRです。これらは、ありきたりな常套文句であり、具体性がないのです。なぜそのように思うのか聞いてみると、「友達から明るいと言われるから」とかこれまたありきたりな答えしか返ってきません。
そうではなく、自己PRはもっと練られたものではないといけない。学生の場合は、どのような部活を経験したのか、そこではどのようなことを学んだのか、バイトでの苦労話や貢献できたこと、そして自分はそれらの経験を踏まえて公務員としてどのように活躍できそうなのかまで持っていけるといいでしょう。つまり、単に自分の良い面ばかり言うのではなく、経験を通して学んだこと、そしてどう公務員の仕事に活かしていくのか言えれば、自己PRとなるでしょう。
社会人経験があるひとならば、これまでの仕事経験が公務員の仕事にどう活かせられるのか、うまく言えれば、相手に与える印象も良いはずです。これまでの経験、苦労したことを踏まえて、本当の意味での自己PRを行いましょう。
バイトやサークル未経験者でも必ずしも不利ではない
また、バイトやサークルの未経験者であっても、必ずしも公務員試験で不利というわけではありません。たとえば、バイトやサークルをせずに、公務員試験のために勉強していたならば、それはそれで悪くは取られないでしょう。また、奨学金のために学業に専念していた学生に対しては良いイメージを抱く場合があります。バイトやサークル経験はあくまで質問のひとつであり、それを経験していないからと、不合格になるわけではありません。大切なのは、人柄の方です。どれだけ何かに集中して頑張ったのか、これからどう取り組んでいこうとしているのかを、採用担当者も見ています。
自信を持つのと偉そうにするのは違う
自信を持つのと偉そうにするのは違います。自信があるように見せようと思うあまり、横柄に見えたり、上から目線に見えてしまう面接者がいます。自信を持つのと偉そうにするのは違います。このさじ加減に注意してください。わからない場合は、あなたの面接対応を客観的に誰かに見てもらうといいでしょう。また、ビデオで録画して客観的に見てみることも大切です。自信を持つのはいいですが、誇張しないこと、プライド高く見られないようにしましょう。このような行為は逆に採用担当者に悪いイメージを与えてしまいます。
なぜ前職を辞めたのか
社会人経験者の場合は、「なぜ前職を辞めたか」聞かれる場合が多いです。社会人経験者だからと面接に不利になるわけではありませんが、なぜ前職を辞めてまで公務員を目指すのか聞かれるのです。このときに、前職の人間関係が辛かったとか、残業が多くてきつかった、などネガティブなことばかり言うと、嫌なことがあるとすぐに投げ出してしまう人間に見られてしまう場合があります。
そうではなく、公務員でしかできない仕事があるから転職を希望したというふうに持っていきましょう。もちろん、前職でどのような経験を積み、どのような面で公務員の仕事にも活かしていくことができるのかを正確に伝えることも大切です。最初にお伝えした民間企業ではなく公務員でしかできないことも添えて、前職を辞めた理由をポジティブに話せると良いでしょう。
公務員としてどのような仕事に就きたいのか
公務員としてどのような仕事に就きたいのかも考えておきましょう。より具体的にイメージできれば、面接時にも将来を見据えて考え行動できる人間としてアピールすることができます。ただ「住民のために働きたい」ではなく、不正受給を無くせるように本当に困っているひとに生活保護支給を渡せるように仕事をしていきたいなど、なるべく具体的に何の仕事をしたいのか話しましょう。このときのテクニックとまではいきませんが、あまり公務員が働きたがらない、生活保護支給の仕事に焦点を置くと、採用担当者も一目置いてくれるかもしれません。あくまで個人的な考えなので参考までに頭に入れておいてください。ありきたりな答えをしても採用担当者には響かないものです。
希望職以外の仕事でも取り組めるか
公務員は様々な部署を経験する場合が多く、必ずしも希望部署で働けない可能性ももちろんあります。なので、「希望部署でなくても働けるか?」ということを聞かれることもあります。このときに、「できません!」と伝えると融通が利かない人間として、落とされる可能性も十分あるでしょう。無難なのは、「どのような仕事でも前向きに取り組める。」ことを伝えることです。
ポイントは、希望部署への熱い思いがありつつも、その他の部署でも自分なりに考え、やりがいを持ち取り組む姿勢を見せることが大切です。こうすれば、仕事への熱意もあり、様々な仕事がこなせる人材として見られやすくなります。
最近の気になるニュースはあるか
公務員試験の面接では、最近の気になるニュースや時事ニュースを聞かれることもあります。このようなときには、芸能人のニュースやガジェットニュースが気になると伝えても、良い意味でもインパクトは得られないので、「外国との貿易問題」「日本の超少子高齢問題」など、日本全体が抱える政治的、経済的問題をテーマに挙げて、自分が考える必要な取り組みや考えを添えるといいでしょう。単にニュースが気になっただけではなく、「ではどうすべきなのか」も持論を交えて伝えられると、優秀な人材に見られる可能性が高いです。希望部署の仕事と絡めて、伝えるのも効果的な答えになるでしょう。
留年した場合は素直に伝えるべきか
もし、学校を留年した場合に、公務員面接試験で正直に伝えるべきかですが、嘘をついても後でバレる可能性が高いので正直に伝えるべきでしょう。留年は当然良いイメージはありません。学業をおろそかにしていたことがバレてしまいます。ただ、留年経験者でも公務員試験に合格しているひともいるので、必ずしも留年しているからと言って、公務員試験で落とされるわけではありません。なので、なぜ留年したのか聞かれたら、生活費を稼ぐためにアルバイトに打ち込んでいたとか、部活に専念していたなど、できるだけポジティブな理由を用意するといいでしょう。また、面接官に聞かれるまで、自分から留年したことを敢えて話さない方が良いでしょう。
親が公務員の場合はアピール要因にもなる
また、親が公務員のひともいると思います。そのようなひとは、親が公務員であることを伝えれば、プラス要因に働く可能性があります。小さいときから、公務員の親に育てられていることで、少なからず普通のひとよりも公務員の仕事を理解していると、評価が得られる可能性があります。なので、親が公務員の場合は、面接時にアピールしてみてもいいでしょう。その際に、公務員である親のどのような面に惹かれて公務員を目指したのかも具体的に言えるとなお良いでしょう。
採用面接時にアルバイト店員でも必ずしも不利にはならない
公務員採用面接では、アルバイトを経験したことがないからと言って、不採用になるわけではありません。アルバイトをしているかは、あくまでお金を得るために何かを経験しているかだけであり、それを経験していないからといって、マイナスに働くわけではないのです。アルバイトを経験していなくても、その分、勉強に力を入れていた場合は、それだけでも良い評価が得られる可能性はあります。公務員試験に受かるためにアルバイトを経験する必要はありません。自分が何に力を入れていたのか、他に言えるものがあれば良いでしょう。
学校と職場の違いはなにか
学校と職場の違いについて聞かれることがあります。もちろん学校はお金を払って学ぶ場所で、職場はお客さんにサービスをしてお金を払ってもらう場所になりますが、それだけではなく、サービスをして対価を得るということは、それだけ責任を伴うものです。学校では自分主体で好き勝手できましたが、仕事はお客さんのために自らが動かなければいけません。学校と職場では、自分主体で考えるのか、お客様目線で考えるのかという大きな違いがあります。この立場の違い、誰かのために何かを尽くす意識が社会人として何よりも必要になります。
公務員浪人の場合は卒業後に何をしていたか
公務員浪人をしているひとは、卒業後に何をしていたかを聞かれる場合があります。このときに、民間企業への就職も準備していたと言ってしまうと、「公務員を目指しているのではないのか?」と疑問視される原因にもなります。なので、公務員を目指しつつ、生活のためにアルバイトをしていたと答えるといいでしょう。アルバイトをしていなかったのならば、家事手伝いでもいいと思います。卒業後も将来公務員になるために頑張っていたことを伝えると良いです。
圧迫面接にも動揺しないこと
公務員試験では、様々な面接官が対応するのでなかには圧迫試験というものもあります。わざと困るような質問をしたり、苦笑したり、嫌味を言われることもあります。面接官によっては、隣の面接官に「こいつダメだな」とか小言を言って揺さぶりをかけてきます。ただでさえ緊張している状況で、このようなことを言われると、落とされるのではないかと不安に思うものです。
しかし、これも圧迫面接のひとつで、単に揺さぶりをかけてきているだけかもしれません。プレッシャーを与えることで、どのように対応するかを見ている面接官もいます。なので、このようなことを言われても冷静に対応するようにしましょう。プレッシャーをかけられても毅然とした態度で、冷静に受け答えすることが大切です。そのような姿を採用担当者も見ています。公務員の仕事はプレッシャーの連続でもあるので、プレッシャーをはねのける力も大切なのです。
面接時間が午前か午後かは合否に関係ない
公務員面接試験に、午前からと午後からで合否に関係あるのか気になるひともいるでしょう。午後遅い時間帯の試験は、面接官も疲れていて単なる消化試合ではないのか、と思うかもしれませんが、面接開始時間の遅い早いは合否と関係はありません。単純に申し込みの先着順で、面接時間が決められていることも多いです。ですから、面接開始時間は合否には関係ないでしょう。
試験時間の長さもあまり合否に関係ない
また、公務員の面接時間が短いと合否に関係あるかどうかですが、これは必ずしも関係あるとは言えません。確かに、魅力を感じずに短い時間で面接を終えることもあるかもしれませんが、必要最低限の受け答えで問題ないと見なせば、短い時間で面接を済ませて、次へ進む場合もないわけではありません。普通より5分くらい早く面接が終わっても、あまり気にすることはないでしょう。時間の長さよりもいかに自分の思いを相手に伝えれるかが大切になります。
これまで力を入れてきたことはなにか
公務員試験の採用面接では、これまで何に力を入れてきたのか聞かれることも多いです。学業なのか、アルバイトなのか、前職での経験なのか、ひとによって様々でしょうが、自分なりの力を入れてきたことについて述べましょう。このときに、どのような問題を抱え、どのように工夫したのかもうまく言えるといいでしょう。人間関係に苦しんだ場合は、自分がどのように努力して改善していったのか、そしてそのような経験が公務員としてどう活かせられるのかも伝えられるといいでしょう。
上司と意見や考えが合わないときはどうするか
公務員の採用面接では、「上司と意見や考えが合わないときにどうするか」も聞かれる場合があります。組織のなかで働くときは、当然意見の食い違いもあります。自分の本意ではないことをさせられることもあるでしょう。そのときに、「自分の考えと違うことはしたくない」「自分が納得いくまで意見を曲げずに主張したい」と答えてしまうと、協調性がない人間として見られる可能性が高いです。そうではなく、上司の意見をよく聞き、自分の意見も取り入れつつ、仕事ができないかを考える必要があります。単純に上司の意見に流されてしまうのではなく、上司の意見も尊重しつつ、自分の意見も活かせられないか考えることが大切なのです。
悪い印象を与えない身なりで挑む
公務員の採用面接に挑む場合は、身なりも最低限整える必要があります。ひとは第一印象がとても大切です。カバンがヨレヨレだったりすると、採用担当者に悪いイメージを与えてしまいます。スーツもピシッと清潔にして、髪を整えましょう。相手に悪い印象を与えない身なりが必要です。ピアスなど目立つようなアクセサリーをするのも控えましょう。あくまで標準的な格好が一番好ましいでしょう。
クールビズ時の採用面接での服装
クールビズの場合にどのような服装で公務員採用面接に挑めばいいのか、迷うひとも少なくないでしょう。クールビズの場合の採用面接時は、基本的にワイシャツがいいでしょう、ポロシャツやTシャツなどラフすぎると常識がないものとして悪い印象を与えてしまう可能性があります。
それぞれの体調があると思うので、ワイシャツは半袖でも長袖でもいいでしょう。ただ、長袖の場合は腕まくりをしているとあまりいい印象は受けません。当日の体調に合わせて半袖にするか長袖にするか決めましょう。
面接カードがある場合は提出期限を守ること
公務員採用試験では面接カードの提出が必要な試験もあります。面接カードは必ず提出期限までに提出するようにしてください。また、志望動機など書く欄が少ない場合は、収まる程度にまとめて記載して、口頭での質問時に詳しく受け答えすると良いでしょう。
面接カードを郵送で送るときはクリアファイルなどに入れましょう。また、手渡しの場合は、クリアファイルに入れてもいいですが、担当者に渡すときに、封筒及びクリアファイルから取り出し、そのまま面接カードを渡せばいいでしょう。手渡しのときは、邪魔にもなるので封筒やクリアファイルはいりません。また、封筒を使うときはくしゃくしゃではない綺麗な封筒を使いましょう。
受け答えは正確にハッキリと答えよう
採用面接での受け答えは正確にはっきり行いましょう。ごもごも吃っていると相手に自分の考えが伝わりません。なるべく相手が聞き取りやすいように、はっきりと声に出しましょう。ただ、あまり大声でしゃべっても、相手にとってはうるさいだけです。適度な音量で聞き取りやすい声が理想的です。心配であれば、誰かに聞いてもらうといいでしょう。
長所ばかり言わずに失敗談や改善したことも伝える
採用試験で犯しがちな過ちが、自分の長所ばかり言うことです。まるで自分が完璧な人間であるかのように、良い面ばかりしか言わない行為は逆に相手に不信感を抱かせます。そうではなく、失敗談も織り混ぜることです。人間なので、きっとどこかで失敗し苦戦しているはずです。そこで、どのように自分は努力して改善していったかが大切なのです。採用担当者は、そのひとが頑張った点や改善した努力を見ています。そこが、公務員として仕事ができるかどうかにもつながるからです。なので、自分の良い面ばかり見せる必要がありません。そうではなく、自分が失敗した点や苦しんだ点を挙げて、どうそれらに対して向き合い、改善していったのかを採用担当者に伝えましょう。それが公務員としての仕事に活かせられるものであれば、なお良いです。
アドリブが必要とされる質問も受ける
公務員試験では突拍子もないことを聞かれることがあります。公務員試験とは全く関係のないような質問をされることがありますが、そのような質問に対してはアドリブで返答するしかありません。試験官は、脈略のない質問をすることで、どう返答してくるかも見ているのです。事前に用意された受け答えばかり見ているのではありません。アドリブが必要な答えで、そのひとの人間性を見ている場合があります。もしアドリブが必要な質問をされたら、たじろがずに、自分なりの考えを述べることです。
採用面接では公務員で働く熱意が必要
以上、様々な公務員の採用面接時の注意点について触れてきました。公務員採用面接では、様々な方向から公務員としてふさわしい人物かを見ています。面接で合格するためには、周到な準備が必要になります。ありきたりな回答ではなく、いかに自分で考え、他の面接者とは違う考えを言えるかが大切です。そして、何よりも公務員として働く熱意がなくてはいけません。やる気は相手にきっと伝わります。本当に公務員の仕事をやる気があるのか、困難にもめげずに働き続けられるかも見ています。公務員試験は筆記試験ではなく、面接試験こそが大切であり、突破するのが難しい試験です。これから面接試験に挑む場合には、今一度、自分が公務員としてどのような仕事につき、どのような目標を持って働こうとしているのか、考えてみましょう。
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