退職時に一番もめるのが、有休消化です。
退職時に有休消化でもめた際の解決方法について、詳しく触れていますので、ぜひ参考にしてみましょう!
目次
- 1 退職時に有休消化できないと言われた
- 2 退職時の有休休暇消化は簡単にできないのか?
- 3 退職時に有休消化でもめないコツ
- 4 退職時に有休消化でもめた際の対処方法
- 5 退職時での有休消化の注意点
- 5.1 退職日と有給休暇取得日をはっきり決めておく
- 5.2 会社の勝手な言い分は聞く必要なし
- 5.3 後任探しは考えるべきなのか
- 5.4 引き止められることは決してありがたいことではない
- 5.5 最終出勤日と退職日を分けて考える
- 5.6 勝手に欠勤扱いにされた
- 5.7 有給休暇は使わないと2年で消失する
- 5.8 有給休暇を理由に給与を減額することは禁止
- 5.9 有給休暇を取る理由は言わなくてもよい
- 5.10 有給取得を消化しきれなかった
- 5.11 年10日以上有給休暇が付与されている場合は最低5日消化させる義務がある
- 5.12 不当な理由での有給休暇取得の拒否は罰金となる
- 5.13 有給消化中の二重就労は避けた方がベター
- 5.14 有給消化中の転職活動は問題なし!
- 5.15 有給休暇消化中でもボーナス支給は受けられる
- 5.16 有給休暇取得は当然の権利
- 6 まとめ
退職時に有休消化できないと言われた
退職時に残っていた有給を消化しようとすると、会社と揉めることが多いです。
私の周りでも、退職時に有休消化で会社ともめた人はたくさんいます。
理不尽な言い訳をされる
『退社する社員は有休消化しないのが、うちの習慣』
『これまで辞めるときに有休消化した人間はいない』
『辞めることで会社に迷惑かけるのに、有休消化までするのは非常識だ』
『社会人としてどうなの?自分1人だけ良ければいいの?』などなど
会社から理不尽かつ身勝手な言い訳をされることも多いです。
しかし、これから紹介しますが、有給休暇の取得を正当な理由なく拒否することは、労働基準法に違反する行為です。
退職時の有休休暇消化は簡単にできないのか?
退職時に有休消化は簡単に出来ないのでしょうか。
いえ、そんなことはありません。
有給休暇の取得条件
入社日から半年継続勤務で出勤率8割以上なら有給休暇10日以上もらえる
上記にもある通り、労働基準法第39条で「雇い入れ日(会社に入社した日)から6ヶ月継続して勤務し、全労働日の出勤率が8割以上」である場合に、「有給休暇を10日以上を付与しなければならない」と定められています。
仕事上の負傷・疾病での休業、育児・介護休業も出勤したものと見なされる
という身勝手なことを言う上司もいます。
しかしながら、労基法では下記のように、定められています。
つまり、労働基準法第39条では、下記の期間は出勤したものとみなされるのです。
- 業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のため休業した期間
- 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第2条第1号の規定する育児休業又は同条第2号に規定する介護休業をした期間
- 産前産後の女性が第65条の規定によって休業した期間
例えば業務上で負傷、疾病での休業、育児・介護休業の期間は、勝手に有休消化されることはなく、出勤したものとして扱われるのです。
ですから、業務上で負傷などで休んでいたからといって、残っていた有給が勝手に使われるわけでもありません。
有給休暇の日数
なお、有給休暇の日数は、勤続年数に応じて、下記のように、有給休暇が付与されます。
勤続年数別 | 有給休暇の付与日数 |
---|---|
勤続1年6か月 | |
勤続2年6か月 | |
勤続3年6か月 | |
勤続4年6か月 | |
勤続5年6か月 | |
勤続6年6か月以上 |
入社から半年が経過した時点で10日間の有給休暇が付与され、半年経過日から起算した継続勤務年数に応じて、有給休暇の付与日数も増えていきます。
例えば、勤続年数6年6ヶ月以上になると、毎年有給休暇は20日付与されます。
パート・アルバイトも有給休暇は付与される
なお、
週所定労働日数が4日以下かつ週所定労働時間が30時間未満の労働者(パート・アルバイト)も、勤続年数・出勤日数に応じて、有給休暇は付与されます。
週間労働日 | 年間労働日 | 6ヶ月 | 1年半 | 2年半 | 3年半 | 4年半 | 5年半 | 6年半以上 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
5日以上 | 217日以上 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
4日 | 169~216日 | 7日 | 8日 | 9日 | 10日 | 12日 | 13日 | 15日 |
3日 | 121~168日 | 5日 | 6日 | 6日 | 8日 | 9日 | 10日 | 11日 |
2日 | 73~120日 | 3日 | 4日 | 4日 | 5日 | 6日 | 6日 | 7日 |
1日 | 48~72日 | 1日 | 2日 | 2日 | 2日 | 3日 | 3日 | 3日 |
上記の表のように、パート・アルバイトに付与される有給日数は週1勤務であれば1日、週2勤務なら3日、週3勤務は5日、週4勤務で7日となっており、入社から半年の時点で付与されます。
従って、正社員だけではなく、パート・アルバイトの方も、勤続年数が1年、2年、3年と増えていくに連れて、付与する有給休暇の日数も増えていきます。
有給を取得したパート・アルバイトに支払う給与
では、有給取得したパート・アルバイトには、いくら給与が支払われるのか。
- 通常の賃金から算出するケース
- 過去3カ月の実績から算出するケース
- 健康保険の標準報酬日額から算出するケース
パート・アルバイトが有給取得した際の給与算出方法は、上記3つのうちのいずれかになることが一般的です。
通常の賃金から算出するケース
有給を取得する日の勤務時間×時給分で支払われます。
- 5時間シフトの月曜日で有給消化 → 時給5時間分が支給される
- 4時間シフトの木曜日で有給消化 → 時給4時間分が支給される
例えば、5時間シフトの月曜日に有給を取ると5時間分の時給、4時間シフトの木曜日に有給を取ると4時間分の時給、という算出方法です。
過去3カ月の実績から算出するケース
こちらでは、過去3ヶ月分の給与を平均して、日割り計算した数値です。
健康保険の標準報酬日額から算出するケース
標準報酬日額は、保険料の金額を決定する際に使われる標準報酬額を日割り計算した数値です。
標準報酬月額には金額の上限が設けられているため、有給休暇中の給与が少なくなるケースがあることもあり、パート・アルバイトでは、こちらの算出ケースはあまり使われません。
有給休暇の残日数はどこで確認する?
有給休暇の残り日数は、給与明細書に記載されていることが多いです。
もしくは、勤怠管理表などにも記載されていることがあり、それでも確認できない場合は、会社の総務や人事部に直接聞いてみるといいでしょう。
有給休暇の最大保持日数は40日
有給休暇の最大保持日数は40日になります。
もし仮に、有給休暇が40日あり消化したい場合、月間の営業日が20日前後の場合は、有休消化で2ヶ月かかります。
なので、有給休暇40日を全て使い切るならば、退職の意思は少なくとも3ヶ月前から伝えておくのが良いでしょう。
会社が有給消化を拒める『時季変更権』は限定的
ちなみに、会社が有給消化を拒めるのは、『時季変更権』という権利です。
時季変更権とは、従業員による年次有給休暇の申請に対して、会社側が変更を求めることができる権利をいいます。
ただし、上記の労基法にもある通り、『時季変更権』の行使条件は、『事業の正常な運営を妨げる場合において』と限定的です。
ですから、事業の運営を妨げる場合以外は、簡単に有給休暇取得を拒否できません。
退職時に有休消化でもめないコツ
退職時に有休消化で揉めないコツについて、下記で詳しくご説明しましょう。
雇用契約書を確認する
まず雇用契約書を確認してください。
有給の有無、有給の日数、付与する条件など記載されていることがあります。
慶弔休暇や傷病休暇などがあるかも、確認しておくといいでしょう。
有給休暇の証拠を持っておく
有給休暇の証拠がわかるものを持っておきましょう。
会社と有休消化でもめた際の証拠書類になります。
先に挙げた雇用契約書の他にも、給与明細にも有給休暇の残り日数が記載されていることもあります。
ぜひ有給休暇の証拠として保管しておきましょう。
早めに退職の意向を伝える
有給の残り日数がある程度あるならば、早めに退職の意向を伝えることです。
そうしないと、退職日まで日数がなく、有給を全部消化できない可能性があります。
全ての有休消化も考慮に入れながら、余裕を持って退職の意向を会社に伝えるのです。
休んでも支障がないよう仕事を整理しておく
有給消化分だけ仕事を休むことになるので、休んでも支障がないように、仕事の整理をしておきましょう。
最終出勤日までに、全ての仕事を終わらせておくのです。
上司とスケジュール相談する
どうしても業務の支障をきたして、有給消化が難しい場合もあります。
ですから、事前に上司とスケジュール相談をしておきましょう。
意地悪な上司でない限り、有休消化も考えながら、退職日の調整をしてくれるはずです。
もし、上司とのスケジュール相談が難しい場合は、あなたでスケジュールを決めて、会社に告げるでも問題ありません。
会社には、あなたの退職を止める権利はありませんし、業務によほどの支障を来たさない限りは、有休消化を拒む権利もありません。
有休消化申請の証拠を残しておく
有休消化申請の書類は、揉めた際の証拠提示にもなりますので、きちんと保管しておきましょう。
退職代行サービスを利用する
もし、確実に有休消化して退職したいならば、退職代行サービスがおすすめです。
私の周りでも使っているひとがいました。
散々文句を言われても、退職代行に依頼したら、なんなく有休消化できます。
しかも、その日から会社に行かなくてよくなります。
なかなか有休消化が言いづらい、有給を使わせてもらえない方は、退職代行も検討してみましょう!
ちなみに、こちらの退職代行ならば、弁護士監修なので、退職後のトラブルも一切なく、即日退社できます。
また、有給消化サポート付きなので、退職時の有給消化に悩んでいる方にもおすすめですね!
しかも、後払い可能なので、相談しやすいです。
後払い可能な退職代行「辞めるんです。」の公式サイトはこちらになります。
退職時に有休消化でもめた際の対処方法
では、退職時に有休消化でもめた際の対処法について、詳しく紹介しましょう。
さらに上の上司・他の部署へ相談する
もし、退職時に有給取得で揉めた際は、さらに上の上司へ相談してみましょう。
もしくは、コンプライアンス部門や人事部、総務部など、他の部署へも相談してみることです。
労働組合へ相談する
労働組合がある場合は、そちらへも相談するといいでしょう。
労働基準監督署に相談する
労基など、公的機関へ相談すれば、会社への指導・勧告が入ることもあります。
退職代行・弁護士へ相談する
あとは、やはり先でも申し上げた通り、退職代行へ依頼すれば、全て代わりに手続きしてくれます。
めんどくさい会社とのやりとりを任せたいならば、退職代行がおすすめです。
後払い可能な退職代行「辞めるんです。」の公式サイトはこちらになります。
また、会社とのトラブルを解決するならば、弁護士への相談方法もあります。
弁護士に依頼して、状況を説明することで、弁護士が代理人として会社側と交渉してもらえます。
退職時での有休消化の注意点
下記では、退職時での有休消化の注意点について、詳しく触れていきます。
退職日と有給休暇取得日をはっきり決めておく
退職日と有給休暇取得日をはっきり決めておきましょう。
そうしないと、ズルズル先にばしにされることがあります。
また、退職日が早まって、有給消化出来なくなってしまうこともあります。
せっかく有給があるのでしたら、ちゃんと有休消化分も計算に入れて、退職日を決めましょう。
会社の勝手な言い分は聞く必要なし
『体調不良に見えないから有給はあげられない』
『会社がバタバタしているので有給を使わないでくれ』などなど
会社が一方的な言い分をしてきても、惑わされないでください。
あなたには、有給休暇があるならば、消化する権利があります。
後任探しは考えるべきなのか
後任者がいないので辞められないというケースもあります。
ただし、業務の引き継ぎは、法的な義務はありません。
それに、あなたの代わりは必ず出来ますし、会社は動きますので、安心してください。
退職意向を告げてから、ある程度の期間で後任が見つからない場合は、会社にも責任があります。
決してあなたばかりが責任を負う必要はありません。
引き止められることは決してありがたいことではない
退職する際に、会社や上司から引きとめられて、『ありがたい』と感じてしまう方もいます。
ですが、決してありがたくありません。
相手の言い分を聞いていると、あなたはどんどん退職が遅れて、有休消化もできなくなります。
そのうち有給が時効で失われてしまうこともあります。
ですから、会社の言い分ばかり聞かないようにしましょう。
所詮は会社も自分たち都合で言っていることの方が多いですからね!
最終出勤日と退職日を分けて考える
- 最終出勤日 = 最後に出社する日
- 退職日 = 会社との雇用契約が終了する日
もし、退職する際に有給が残っている場合は、最終出勤日以降に有休消化を行い、退職日に退職するのが、一般的です。
ですから、有給が残っているならば、いつ最終出勤日にするのか、いつ有休消化するのか、いつ退職日にするのか、よく考えて調整しましょう。
勝手に欠勤扱いにされた
欠勤扱いにされた場合は、以下の原因が考えられます。
- 有給が付与されていない
- 会社が違法に欠勤扱いしている
まず、欠勤が多く、出勤日が所定労働日数の8割を満たしていない場合は有給が付与されません。
また、もし会社が違法に欠勤扱いしている場合は、有給が残っていること、有給休暇の申請書があることなど、会社側に伝えて、差し引かれた給与分を請求することができます。
有給休暇は使わないと2年で消失する
上記の労基法にもある通り、有給休暇は付与された時から2年を過ぎると、消滅してしまいます。
ですから、有給休暇は取得したら2年以内に消化する必要があるのです。
有給休暇を理由に給与を減額することは禁止
上記の労基法附則にもある通り、従業員が有給休暇を取得したからといって、賃金や時給の減額、休んだ分の業務を押し付け、その他不利益な取扱することは禁止されています。
有給休暇を取る理由は言わなくてもよい
また、有給休暇を取る理由を言う必要はありません。
会社側は、有給休暇の取得理由によって、拒否することはできないのです。
従って、有給休暇の取得理由は、「私用のため」でも全く問題ないのです。
たとえ上司が、『遊ぶための有給取得は認めない!』と身勝手なことを言ってきても、気にせず有休消化しましょう!
有給取得を消化しきれなかった
では、有休消化できなかった場合、どうなるのか。どうすればいいのか。
消化しきれなかった有給を会社が買い取ることもあります。
- 基本的に会社が買取の請求に応じる義務はない
- 事前に買い取ることによって取得を妨げる制度は無効
- 時効消滅する有給を事後的に買取るような制度は有効
ただ、基本的に会社が、買取の請求に応じる義務はありません。
また、仮に有給買取の社内規定があっても、事前に買い取ることによって取得を妨げる制度は、無効とされます。
ただし、時効消滅する有給を事後的に買取る制度であれば有効です。
しかしながら、有給を買い取ってもらえる場合でも、通常の賃金の70~80%というに、割安になってしまうことが多いです。
年10日以上有給休暇が付与されている場合は最低5日消化させる義務がある
上記の労働基準法にもある通り、たとえパート・アルバイトであっても、年に10日以上の有給休暇が付与されている場合は、付与した基準日から1年以内に5日にの有給を取得させなければなりません。
このように、労働者に有給休暇を計画的に取得させることが企業側に義務づけられているのです。
むしろ拒むどころか、会社は従業員の有給休暇消化をさせていく必要があるのです。
不当な理由での有給休暇取得の拒否は罰金となる
また、もし従業員の有給休暇取得を、不当な理由で拒否した場合、罰金となります。
この法律の違反行為をした者が、当該事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為した代理人、使用人その他の従業者である場合においては、事業主に対しても各本条の罰金刑を科する。
違反の防止に必要な措置をした場合においては、この限りでない。(労働基準法第120条)
以上にもある通り、もし不当な理由で、従業員の有給休暇取得を拒否した場合、30万円以下の罰金となります。
また、違法行為をしたひとだけでなく、事業主に対しても罰金刑が科されます。
有給消化中の二重就労は避けた方がベター
あと、退職前の有給休暇中に、次の会社で働きたいと思う方もいるかもしれませんが、有給消化中の二重就労は避けた方が無難です。
そもそも在職中の企業が二重就労(兼業)を禁止している場合もありますし、たとえ兼業できたとしても、在職している企業の雇用保険を喪失しなければ、転職先の企業で雇用保険の手続きが取れません。
従って、まず現職の企業で「雇用保険の資格喪失手続き」をしてもらい、辞めてから、転職先で働き始める方がトラブルを避けることができます。
有給消化中の転職活動は問題なし!
ちなみに、有給休暇消化中の転職活動は全く問題ありません。
もっとも、在職中に働きながら転職活動を行う方もたくさんいるわけですから、有休消化中に転職活動してはいけない理由はないです。
また、今の会社を辞めると収入がストップするわけですから、そうなると金銭的な余裕もなくなります。
ですから、余裕のある今のうちから転職活動を行った方が良いでしょう。
有給休暇消化中でもボーナス支給は受けられる
ボーナス支給日と退職日で悩む方も多いと思います。
例えば、有給休暇消化中でも、ボーナス支給は受けられるのか。
一般的に、ボーナス(賞与)は支給額の算定期間における会社業績・勤務成績に応じて支給されるものです。
そのため、有給休暇の消化中であっても、勤務実績があればボーナス支給対象になります。
ただし、企業が従業員にボーナス(賞与)の支給を義務付けるような法律上の定めはありませんので、ボーナスの支給額については、会社側の裁量に委ねられます。
ですから、必ずしも有給休暇消化中にボーナスがもらえるわけではないのです。
有給休暇取得は当然の権利
よく聞くのが、
『有休消化はわがままではないか』
という声です。
しかし、悪いわけでもわがままなわけでもありません。
有給休暇取得は、当然の権利です。
なので、辞める際の有給休暇消化も遠慮なく行いましょう!
まとめ
以上のように、退職時にもめる有給休暇の消化方法について詳しく述べてきました。
結構もめるケースが多いので、会社や上司が有休消化を拒否してきたら、これらのような対策を講じてみてください。
有休消化できないまま、泣き寝入りをしないよう、ぜひ積極的に行動しましょう!