当時は、本当に生きるのも大変だった。何度、死を覚悟したことだろう。自ら作ってしまった借金により生死を彷徨うほどの境遇に陥ってしまった。そして、家族にも大きな傷をつけてしまった。そんな自分(30代)が、なぜ330万円もの借金を返済できたのか、ここに記していきたい。

きっかけは些細なこと – 一人でいられない自分

孤独な自分を嫌がる

借金を作ってしまったきっかけは、些細なことだった。私は学生時代から、一人でいることが耐えられなかった。誰かと一緒にいないと、人生を楽しんでいないような、仲間はずれにされているような感覚に陥っていた。一人でいることが、リア充でないように思えてしまった。本当は一人でも楽しい時間を過ごせるはずなのに、自分は一人でいることに物凄く苦痛を感じてしまい、かといっていつも一緒に遊びに行ける知り合いも多くなかった。

たまたま訪れたパチンコ店

パチンコ借金

また、独身であったため、比較的自由な時間も多く、これが余計に孤独感を感じさせた。そんな20代のある日に、ふと立ち寄ってしまったのが、近所のパチンコ店だった。前々から家の近くで営業されていたのだが、学生時代は友達と飲みに出かけるのに夢中で気にも止めなかった。

社会人になり遊べる友達もいなく、早く仕事が終わった日や休日は暇な時間が多くなってしまったため、一人でいることが耐えきれずに、私はふと近所のパチンコ店に出かけた。最初はどうやるのかもわからなかったが、店員に聞いて千円札を機器に入れて始めてみた。

初日で5万3千円勝つ

「千円くらいならば失ってもいい」そんなつもりで始めたのだが、その千円でいきなり当ててしまったのだ。当時、ビギナーズラックという言葉すら知らない無知な自分だった。そのまま、当たり続けて、その日は5万3千円勝つことができた。

初めて始めたパチンコで、しかも千円が5万3千円になったことに、かなり驚き、そして、パチンコの魅力に取り憑かれてしまったのだ。「またパチンコをすれば当たるかもしれない」たまたま時間つぶしのつもりで始めたパチンコが、大当たりしてしまったことから、のめり込むようになり、その日を境に、時間があるときには、パチンコ店に繰り出す日々が続いた。

負け続ける日々

パチンコで負け続ける日々

当然、次にパチンコ店に行った時には負けた。しかし、それでも気にしていなかった。なぜなら、最初に5万3千円勝っていたから。なので、負けても「次は勝てるのでは!」と思い込み、パチンコをやめなかった。すぐに、最初に買った5万3千円分も使い果たし、パチンコ熱は冷めることなく、マイナスを重ねるようになった。

しかし、負ける中でも、大きく勝つ時もあり、その時の高鳴りや興奮が快感となり、パチンコを辞めることができなかった。大きく勝っても、その分、いやそれ以上負けることが続き、損失は膨らんで行った。

そうこうしているうちに、給料もつぎ込んでしまい、とうとう貯金にも手を出すようになってしまった。当時は、150万円ほど貯金があったように思う。パチンコをすれば大きく当たると思い込んでしまった自分は、150万円の貯金にも手を出し、そして、最終的にはそれを全部パチンコで失ってしまった。

止められないギャンブル依存症

借金・キャッシング - パチンコ依存症

貯金を使い果たすまで、わずか1年ちょっとの出来事だった。短期間のうちに200万円近くのお金をパチンコで使ってしまったのである。ただ、それでもパチンコを辞めることがなかった。パチンコから得られる興奮や稼いだ時の達成感が、一人でいられない自分を、孤独感から救い上げてくれていた。

借金に手を染め始める

借金・キャッシング - パチンコ借金

そして、とうとうカードローンを使うようになる。最初は借金することに気後れも感じた。取り立てが来るのでは、という怖さも確かにあった。けれども、審査に申し込んだら思いの外、お金を借りられた。当時は、借金をしていなかったので、審査をしても簡単に借りることができた。あまりにも簡単にお金が借りられるので、始めて借りた時を境に、借金を重ねるようになった。

パチンコは少し勝っては、それ以上負ける日々の繰り返しだった。たまに大きく勝っても、次の日以降は連続して負ける日々が続いた。それでも、寂しがり屋な孤独を恐れた自分は、パチンコ台に向き合い、寂しさを紛らわせていた。借金は複数業者に及び、そして、とうとうお金が借りれないところまで来てしまった。

ある時、いつものようにお金を借りようと問い合わせてみると、電話受付の女性に「もうお金を貸すことができない」と言われた。そのときに、ようやく借金していた額を見直すようになった。それが当時、330万円という借金の金額だった。自分は、借りれなくなるまで、ずるずると借金を重ねていってしまったのだ。しかも、複数業者に及ぶ、多重債務者となってしまった。

始まった地獄の借金生活

借金・キャッシング

お金が借りれなくなり、ようやく借金の大きさに気づいた自分は、パチンコを辞めるように努力した。もう少し早く辞めればよかったと何度も悔いたが、辞めるのも大変だった。それまで数年パチンコに通っていたため、またパチンコに行きたくなった。現に、何度かパチンコ店に行き、そして、また負けた。その時は、かなりの自己嫌悪に陥っていた。そして、少額の負けでも自分を苦しめ、借金している自分にも危機感を感じて、パチンコから離れていった。

借金をしても辞められない人もいる中で、辞められた自分は不幸中の幸いだったと思う。それでも、巨額の借金を背負ってしまっているのは変わりなかった。当時は一人暮らしをしていて、また、給料は安月給のため、借金返済は相当大変なものだった。

金利の高いカードローン

借金・キャッシング - カードローン

銀行ローンと違い、カードローン会社の金利はとても高い。18%近くの利息が平気で付くことがある。なので、330万円を借りていた自分は、利息含めて毎月8万円近くを返済しなければいけなかった。この金額は当時の自分にとって大きな金額となった。なぜなら、会社から得られる給料は手取りで17万円にも届かない額だったからだ。

毎月の借金を返済すると、9万円以下で生活しないといけない。家賃や光熱費を払わなければいけない自分にとっては相当大変なことだった。契約していた保険も当然解約した。食費を1日一食にしたり、テレビや家具なども全部売り、借金返済に充てたが、それでも相当厳しく、返済することができない時があった。

かさむ延滞料金

借金・キャッシング - 延滞料金

借金返済が滞ると、利息20%以上の延滞料金がかかってしまった。延滞料がかかり、さらに払えなくなり、返せ度も返せ度も借金はどんどん膨らんでいくような感覚だった。わずかなボーナスも全て借金に充てたりしたが、それでも借金は減ることがなかった。

取り立て・催促状の恐怖

借金・キャッシング - 取り立て・催促

借金が返済できない日々が続くと、催促状が届いたり、取り立てが来るようになった。この時は精神的にもかなり追い詰められていた。また、催促状や電話は自宅だけでなく、実家にも届くようになった。実家は両親が既に離婚していたため、母だけだったのだが、母にまで催促の電話が行くようになった。この時、母は息子が借金をしていることを知った。当時はかなり怒られた。申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

母も自分の暮らしで精一杯だったので、頼ることはできなかった。そんな母にまで催促が来てしまうことに、改めて自分の情けなさを痛感した。そして、母も催促の度重なる電話で鬱になるほど具合を悪くしてしまうほどだった。また、自分の会社にも催促の電話が来るようになり、仕事を失う危機に陥っていた。

本気で自殺を考え出す

借金・キャッシング

家にも実家にも会社にも取り立てが来ることに恐怖を感じ、また抜け出せない借金地獄から、いち早く解放されたいという思いから、自殺を考え始めます。携帯ニュースに入る、電車の人身事故のニュースを見ては、「次は自分の番かもしれない」と思う日々が続きます。いつ死のうとばかり考えるようになります。しかし、死んだら母親が悲しむと思うと、なかなか死ねないのです。

電車の広告で見つける「債務整理」の文字

借金・キャッシング - 債務整理

そんな、どん底生活の中、たまたま通勤途中の電車内で「債務整理」の文字を見かけました。借金地獄で精神的にもボロボロな状態で、うつろな目の中に「債務整理」という文字が入ってきました。債務整理という言葉は、なんとなく知っていましたが、詳しいことについては知りませんでした。

ただ、借金に困っている人向け書かれた債務整理の広告を目のして、藁にもすがる思いで無料相談をしてみました。現在の状況、借金額、借金した理由などを詳細に説明しました。電話受付の後、弁護士の先生ともお話できることになり、これまでの経緯を詳細にお話したのです。その時の自分は、今にも死んでしまうような、消え入るような自分だったと思います。

任意整理という奇跡の選択

借金・キャッシング

借金について全てお話したあと、弁護士の先生に勧められたのが、「任意整理」だったのです。借金は膨らみましたが、まだ仕事をしていたので、返せる力がある自分は任意整理をした方が良いとアドバイスされました。そして、任意整理をすれば、一時的に支払いや取り立てがストップし、さらに借金が減額される可能性があると言われたのです。

その言葉は、まるで奇跡のようでした。これまで借金や取り立てに苦しんでいたのに、取り立てが止まり、借金も減額できる可能性がある。一途の光を得たようで、早速、弁護士の先生に任意整理を依頼するようにしました。するとすぐに、弁護士が「受任通知」を各金融業者に送り、その時点で本当に取り立てがストップしたのです。また、和解が成立するまで返済しなくて良いことになりました。

借金の大幅減額

そして、弁護士の先生が各金融業者とかなり交渉してくれて、330万円あった借金が最終的に240万円まで減額されたのです。そして、毎月8万円近くの借金返済をしていたのが、2~3万円の返済で済むようになりました。

それを聞いた時、喜びと安堵感から涙を流したのを覚えています。そして、頑張って交渉してくれた弁護士の先生に涙ながらにお礼をしました。それを聞いた母も、泣きながら喜び、叱ってくれました。

任意整理後の新たな人生

借金・キャッシング

任意整理後は、全く新たな人生が始まりました。仕事には以前よりも熱が入り、より一生懸命働くようになりました。また、返済は弁護士事務所から各金融業者に渡してもらえるような手続きができましたので、直接金融業者と接点を持つ必要がなくなりました。

そうこうしているうちに、私は30代を迎えて、ボーナスなども借金返済に企てて、予定よりも数年で借金返済することができたのです。そして、それを機に以前より興味を持っていた業界に転職することができ、また、将来の伴侶を見つけ、家族を持つことができるようになったのです。

借金地獄の自分とは全く違う世界

借金・キャッシング

今思うと、借金地獄の日々が嘘であったかのように、充実した日々を送ることができています。借金地獄で本当に自殺も考えていたのが、こうして元気に生きられることに喜びを感じていますし、また弁護士の先生にも、とても感謝しています。

やはり、本当に借金で困っている時は、周りが見えなくなるものですが、それでも解決策はあるので、専門家などに相談した方が良いと思います。私のように多額の借金をしても、返済する方法はあるのです。まずは、どんな借金地獄の生活を送っていても、諦めず、人生を絶とうとはせず、専門家に相談してみると良いでしょう。