雪の影響で電車が遅れる
毎年1月2月頃になると、東京などの首都圏でも雪が降ります。大抵は積もらない雪なのですが、中には10センチほど積もる雪も降ります。北海道のような数メートルの雪に比べたら大したことありませんが、東京での10センチの雪は大雪の部類に入り、もう大変です。朝方に10センチほど雪が降ると都内は大パニック。10センチの雪で、スタッドレスタイヤを履いていない多くの都内の車は動くことができず、必死にチェーンを巻く忙しい平日の朝。街では、慣れない雪の上を歩き足を滑らせて怪我をする人多数、中には自転車に乗る高齢者もいて、けが人が続出します。
そして、OLやサラリーマンなどの会社員が一番困ることが、朝の雪による電車遅延。都内でも山奥の方が10センチの雪で運行中止になり、積もった雪で線路脇の木が倒れて運転が遅れる、また慣れない雪が積もった線路を走るため、いつもの急行列車はまるで各停列車のよう。そうなれば、本数が減った列車に多くの人がなだれ込み、車内はパニック状態。また、駅も人で溢れかえり、駅に人が入らないように一部封鎖する始末。また、すし詰め状態の車内で気分を悪くする人もいて、その人を車内から救出するために電車がまた遅れる。
まさに、首都圏で10センチほどの雪が積もるだけで、早朝の出勤時間は大パニックになります。ちょうど、雪で満員電車に閉じ込められている人が、この記事を見ているかもしれません。真面目な日本人は雪が降り、列車の本数が減った、ぎゅうぎゅう詰めの車内にも果敢に乗り込み出勤するわけです。頑張る人々には感心することもありますが、今一度考えなくてはいけません。
雪で遅れた電車を会議を理由にさらに止める
なぜなら、雪の影響で遅れた電車を会議を理由に車内から飛び出して、さらに電車を遅らせる出来事が起きたからです。大雪がふっと1月、東京メトロ千代田線綾瀬駅(東京都足立区)で雪の影響で止まった電車内の窓から社外へ降り、千代田線とJR常磐線は一時運転を見合わせ、計10万4000人に影響が出ました。電車から降りた男性は、「大事な会議に遅れそうだったので降りた」とのこと。この出来事こそ、まさに日本の会社員を象徴しているようでした。この男性の頭は、止まった満員電車の中で、どうにかして会議に行くことだった。そして導き出した答えが、電車の窓から降りるという選択。その結果、10万人以上の人々に迷惑をかけることになった。10万人の人々の足を止めてしまうほど、果たして大事な会議だったのだろうか。
また、この男性は怪我をせずに済んだかもしれないが、もし他の列車にひかれていたら命を落としたかもしれない。自分の命を落としかねないほど、大切な会議だったのだろうか。自分の命をかけるほどの、決断だったのだろうか。会社員として、なかなかそのような状況に巡り合わないことだし、会議と命を天秤にかける状況が違和感を感じてしまった。ひょっとしたら、自分の人生をかけた大事な会議だったのかもしれないけれども、冷静に考える必要もあったんじゃないかな。その会議だけが人生のすべてではない。たとえ、1日くらい仕事が遅れようが自分の人生には大きな影響はない。この事件を耳にしたときに、どうも切羽詰まった日本の会社員生活を感じてしまった。
私たちはもっと違う生き方があるのに、それに気づいていないのではないだろうか。ただ、決められた時間に間に合うように、ひたすら会社を目指して足を動かされている。朝の満員電車内の静かな光景を見ると、そう感じてしまうことが少なくない。雪が積もるといつもと違う状況、いつもと違う時間を過ごすので、少し違うことを考えることができる。自分たちは、当たり前のように働かされているのかもしれない。だとしたら、違う角度の働き方を考える必要がある。10万人の人々に迷惑をかけるようなこと、自分の命を脅かすようなことではなく、楽しく前向きに働くことが、自分の人生を豊かにしてくれることだろう。